高校に行かなくても、この試験に合格すれば高校を卒業したのと同等の資格が与えられる、というものです。
大学には行きたいが、高校に行くのが苦痛な人。高校2年以上で退学し、できるだけ早くに大学入学資格がほしい人。
- 入試みたいに相対評価ではないため、他の人を気にする必要はありません。
- 科目によっては高校受験レベルの内容です。
- 合格した科目を、在籍する高校の単位にすることも可能です。(例外あり)
- 高校に1年以上行った(修了した)人については、免除科目があります。
- 一人でできる分、他の人との関わりが少なくなりがちです。(認定試験の予備校を利用する。できる人は、SNSで同じような人とのつながりを持って情報交換するのも一案です。)
- 独学や通信添削では、人によっては限界があるかも・・・。精神的にもきついと思います。
- 合格しても高卒資格にはなりません。
- この試験に合格したことを「高卒資格」にして民間企業に就職しようとすると、おそらくは落とされると思います。(こんな人はいないと思いますが…)
どうしても大学入試問題とのギャップがあります。通信制の大学や学部や立地を選ばなければ入れる大学はありますが、名前の知られた大学に合格するには、相当なギャップがあることを覚悟しておいてください。
教科書、問題集、参考書などを買い揃える費用、予備校に通ったり通信添削を受ける場合はその費用もかかります。
だいたいのあらまし
高認についてのだいたいのシステムや準備方法を書いておきます。(2020年現在)
年によって変わるようなので、詳細については文部科学省内の該当箇所をご覧ください。「高卒資格認定試験」で検索すれば文科省のサイトがヒットするはず。
受検までの一連の流れ
「『願書(受検案内)入手』→『必要書類を揃える(住民票、受検料、写真、免除関係など)』→『出願』→『受検』→『発表』」という順番で進んでいきます。
毎年8月と11月に各都道府県に設けられた試験会場で行われます。
それぞれの試験日の3〜4か月前から願書配布(ネットから申し込むことも可能ですが、送料が必要になります。)、2〜3か月前に出願、そして受検日の1か月後くらいに合格発表となります。
受検資格は?
翌年の3月31日までに16才になる方。
全日制高校に在籍している場合も受検できます。が、合格しても、その科目を卒業に必要な単位として認めてもらえるかは、在籍する学校長の裁量に任されていますので、全日制高校に在籍した状態で受検する場合は、そのあたりを学校側に確認した方がいいと思います。(全日制の場合は期待しない方がいい)
試験科目 (全科目受検のススメ)
以下の受検科目にすべて合格することで、高校卒業したのと同等の資格が得られます。8科目(「倫理」と「政治経済」を選んだ場合は9科目)に合格する必要があります。
● 受検科目 | ||
選択方法 | 科目名 | 出題範囲(高校で一般に言われている科目) |
---|---|---|
必ず受検する | 国語 | 国語総合(古文・漢文を含む) |
数学 | 数学T | |
英語 | コミュニケーション英語1 | |
世界史(AまたはB)(※) | 世界史(AまたはB) | |
どれか1科目 | 日本史(AまたはB)(※) | 日本史(AまたはB) |
地理(AまたはB)(※) | 地理(AまたはB) | |
どちらか一方 | 現代社会 | 現代社会 |
倫理と政治経済の2科目 | 倫理と政治経済 | |
2〜3科目を選択(**) | 科学と人間生活 | 科学と人間生活 |
物理基礎 | 物理基礎 | |
化学基礎 | 化学基礎 | |
生物基礎 | 生物基礎 | |
地学基礎 | 地学基礎 |
※ A、Bのついてる科目は、A、Bのどちらかを受検します。
(**)「科学と人間生活」を選択した場合は、以下の「**基礎」の4科目から1科目選択。「科学と人間生活」を選択しない場合は「**基礎」の4科目から3科目選択
受検する8〜9科目のうち、今年は半分を受けて、残りは来年以降に受ける、という人がいますが、マーク式なので当てずっぽうでマークしても、えんぴつを転がして出た数字をマークしても合格する可能性があります。(サイコロは持ち込み禁止です。) 受検料もあまり変わらないのでとにかく全科目にチャレンジしましょう。合格なら、次回以降は受ける必要ありません。
受検科目の免除
在籍していた高校で取得した科目があり、上記科目にあるものなら、その科目を合格したものとして扱われます。
科目の免除を受けるには、通っていた高校に行き単位取得証明書を作ってもらう必要があります。あなたの通っていた高校へ出向き、事務室の人に単位取得証明書を作ってもらうよう頼めば作ってもらえるはずです。念のため、印鑑と在籍していたときの生徒手帳を持参してください。ネットから申し込める場合もあります。その学校のホームページをご覧ください。また、かなり前の場合は在籍状況や成績などが残っていない場合があります。その場合は免除を受けることができないそうです。
教師(担任含む)に会う必要はありません。(偶然、廊下で会ってしまった場合は、運が悪かったと思って軽く頭を下げましょう。) 自分で行くのがいやなら、お母さんに行ってもらうか、全科目にチャレンジするだけの話です。
全日制の普通科であれば、1年を修了していれば国語総合、数学T、現代社会。2年を修了していれば、さらに英語、理科のうち1〜2科目が免除されます。詳しくは、あなたの生徒手帳などに書いてある履修計画表などを見てください。受検科目すべてが免除となる場合もあるかと思いますが、最低1科目を受検し合格しないと高認に合格したことにはなりませんのでご注意を。
※ ここでいう「修了」とは、「各学年で取るべき単位をすべて取った」、ということです。
受検の準備
文部科学省のホームページで過去問が紹介されています。準備のための一例を挙げておきます。一応の傾向として、単に知識を問うだけでなく、実験や調査(特に理科や地歴関係)、身近な話題を扱った問題、英語であれば日常会話なんかに出てくる独特の言い回しを問う問題もあります。
国語と英語
高校入試程度の問題集をやれば十分。
現代社会
いちばん簡単な問題集を繰り返しやるといいでしょう。また、最近の出来事(政治、社会、環境問題など)に関心を持つと、取り組みやすいかと思います。
数学
数学Tのいちばん簡単な問題集を繰り返しやるといいでしょう。
世界史
教科書でも何でもいい(世界史を扱ったマンガでもOK)から、通読しましょう。その上で、簡単な問題集で力をつけましょう。
地理、日本史
中学校の範囲で十分合格可能かと思います。不安なら、いちばん簡単な問題集を繰り返しやるといいでしょう。
物理、化学、生物、地学
知識や公式を当てはめればすぐに解けるのではなく、実験などを通して出題されることが多いので、問題集をやるだけでなく、NHK教育テレビでやっているそれぞれの科目の講座もチェックしましょう。
科学と人間生活
全日制だと授業を行っている学校が少ないようで、問題集や参考書は少ないです。高卒認定用の参考書やテキストがあるようですが、かなり高額です。
それでも、例えば環境問題など身近な話題を扱った問題もあるので、中学校程度の知識があれば、あまり勉強しなくても合格できるかもしれません。
地理歴史系の科目ではA,Bがありますが、多くの場合Aの方が簡単みたいですが、一方で大学入試で「A」を試験科目としているところは多くありません。(センター試験は全科目あります) よって、あなたの合格後の進路に合わせてどちらを受検するかを決めればいいかと思います。
得意な科目、大学受験で必要な科目 | B |
---|---|
苦手な科目、とりあえず合格しておきたい科目 | A |
どれぐらい取れれば合格できるの?
だいたい60点が合格ラインといわれてますが、平均点が低かった場合は、それ以下でも合格できる場合もあります。
認定試験と通信制、定時制高校は相乗り可能
認定試験での合格科目は、通信制や定時制高校で多くの場合、単位として認められます。そこで、通信制や定時制高校に在籍しながら認定試験合格を目指す方法が考えられます。
- 通信制や定時制の単位を認定試験の科目に読み替えて、認定試験に合格する。
- 認定試験の合格科目を通信制、定時制の単位として認めてもらい、その他の卒業条件も満たして、通信制・定時制の高校を卒業する。
一般的に、1.は大学進学などこれからの進路が決まってる人、2.は高卒の資格がほしい人におすすめです。
また、認定試験の合格科目を全日制高校の単位として認めてもらうことも、一応可能です。が、この場合は在学する学校の校長の裁量に委ねられていますので、希望通り行かないこともあるでしょう。(期待しない方がいい)
2020/5/12 更新