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SST

 保健所でカウンセリングを受けている人(男性)とメールで話したことがあるのですが、彼の話によると、週1回くらい、同じような状態の人が保健所に集まって「SST」というのをやっているそうです。

 「social skill training」の略で、アメリカの刑務所などで取り入れられているそうです。中身はというと、「様々な場面を設定し、参加者がそれぞれの役割を演じ、人付き合いの仕方を見につける」とでもいいますか・・・。平たく言えば、「ロールプレイ」ですね。

 でも、私の感覚では、彼らは人付き合いができないから「ひきこもり」状態になっているとは思えません。「誰とでもスムーズに付き合える」というわけでは決してありませんが、上手に引っ張ってやれば、人付き合いはできます。

 むしろ、こういう訓練が必要なのは、何事もなく学校に行っていたり、仕事をしている人、つまり「誰とでもスムーズに付き合える」人ではないでしょうか? こういう人は口数が多い分、知らず知らずのうちに人を傷つけるような言葉を発し、それがきっかけで「ひきこもり」状態になってる人もいるかもしれません。そういう性格の皆さん、そのあたりどう思われますか?

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「いじめ」や暴力のない環境で、すべての子どもが育つことのできる社会を。「あした、いいこと」の願いです。

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2009/01/01 更新

「ひきこもり」ってなあに?(タイトル)
その2 どうして「ひきこもり」状態になるの?

どうして「ひきこもり」状態になるの?

 「ひきこもり」状態の人の過去を探ってみると、人それぞれいろいろあります。ただ、このようになってしまう方の多くは、幼少期から思春期までの間に何らかの心の傷を負っていて、それを引きずっているようです。

 心の傷といっても、「非行」という形で問題を起こす人もいます。こういう人は刑務所や少年院に入れられたり、犯罪歴が残ったり決して望ましいことではありませんが、「対人関係」は築けるわけで、まだ救いがあるんです。

 当サイトに寄せられた相談や他の情報から、どのような経緯で「ひきこもり」状態になっているかをいくつかを考えると、いくつかの共通項があります。従来は「偏見を助長する」ということで封印していたことですが、あえてご紹介すると、

 幼少期・少年期に受けた心の傷

 いちばんわかりやすいのは、この時期に受けた「いじめ」や「虐待」じゃないでしょうか? その時の心の傷から、「相手が自分をどう思っているか」を過度に意識するようになり、コミュニケーションが取り辛くなることが多々あります。

 実際、「いじめられるまでは、誰とでも話せる性格だったのに、いじめられてからは性格が変わった」と話す子に何度も会いました。

 友達を作ろうとがんばった末に・・・

 友達が少ない人に対し、教師の多くは「自分から話しかけろ。そうしないから友達ができないんだ。」とアドバイスします。そして、真面目な子は、「話しかければ友達ができる」と話しかけていくわけです。

 でも、相手が期待通りの反応をしてくれるとは限りません。相手にも事情があるのでしょうけど、当人は教師の言うことが正しいと思ってやったことですので、その通りにならないと教師に対して不信感が沸きます。また、苦手なことをやるのですから、当然精神的な負担も大きく、思うような反応がないと非常に疲れるでしょう。そうして、人と関わることを避けるようになるのです。

 他人には見られたくないこと(障害、性格など)があって・・・

 例えば、「パニック障害」という、突然発作に襲われ、その場に倒れこんで救急車に運ばれる、という病気と聞いています。発作がいつ起こるかがわからないし、当人はそうなることを極端に恐れます。結果として、仕事をしたり、外出することが難しくなるのです。

 また、自分の過去(学校を辞めたり、行かなかったりした経験があるなど)を知られたくないあまりに、積極的な人付き合いができなくなり、職場などで孤立してしまい、仕事を続けられなくなることもあるようです。

 もともと、積極的に行動する人ではない。

 そのようになるまでは、おそらく自分で何かを決めて行動した経験がなかったのではないでしょうか? そういう人に「これからどうするのか?」と詰問しても、まともな答えが返ってくることはないでしょうね。

 このような人の生き方としては、みんなと同じ時期に進学、就職し、家庭を持つことがベストでしょうけど、それができないのは大きなハンディになると思います。

 入試に落ちたことや、入った学校や会社が、自分の期待通りのものでなかったことがきっかけになるケースもあります。そうなった場合にどうするかは本人の問題ですが、「○○になりたい(入りたい)」と思ってがんばった人は、学校や仕事を辞めたあと何をすべきか見出せず、ズルズルと行くこともあるようです。

 従来より、交友関係がない・少ない。

 何気ないことを話せる友達がいることは、実際は大変重要かもしれません。辛いことがあっても、それを知っていたり、共有できる人がいると、それだけで安心できるものです。でも、それがないと、辛いことをすべて自分で背負うことになります。また、何気ない話から、ほかの人がどういう進路を選ぶかなどの情報を手に入れることができます。インターネットからも様々な情報を手に入れることができますが、そういふうにして得られる情報も大事です。

 また、自分と同世代の人が何気なくやってること(みんなで遊びに行く、合コン、異性との交際、バイト、仕事など)をできないことがコンプレックスになっていることもあります。

 人間関係のバランスが良くない

 親子の関係でも、学校での生徒と教師との関係、職場での人間関係でもおそらくそうなのだと思いますが、大事なのは「バランス」だと思うんです。一方で厳しく言う人がいれば、一方ではそれをなだめる人がいるという・・・。

 「人間関係のバランス」が取れている人というのは、おそらくたくさんの生活ステージ(家庭、学校、部活、バイト先、サークル、近所付き合いなど)があるわけで、たくさんの人と日常的に接しているわけです。

 しかし、生活ステージが少ない(家庭と学校だけ)ような人は、特定の人(親、教師)の言うことが、本人の評価の大部分になってしまいます。たとえば、「お前は甘えてる」というようなことを周りにいる大人すべてから言われると、当人は「自分は甘えている(人と同じことができていない)」と本能的に思うようになり、それが原因で自分を責めるようになるし、あるいは「どうせ自分はダメなんだから」と何事にも積極的に取り組めなくなります。本人が社会参加を目指す場合に、このことが大きな障害になることは言うまでもありません。

人間関係のバランス
↑ 人間関係のバランス。(大学生の場合)
左(青)が交友関係が少ない人、右(緑)が多い人。
親の影響がこんなに大きいって、怖いと思いませんか?

 これといった趣味や関心事、好きなことがない。

 親御さんも、あまり社交的ではない。

 この手の親御さんは、子どもがこのようになってしまうと、どうしても存在を隠そうとします。そして、知人などから「息子さんはどうしてますか?」と聞かれることが、重荷になったりします。結果として、家族で抱え込むようになり、問題が長引くことになります。親御さんの精神状態も悪くなります。

 「ひきこもりの親の会」がよくマスコミで報道されますが、そういう会に参加する人は、もともと社交的な人が多いように私は思います。つまり、この問題の話題での話し相手がいない人が集まってできた集団と思えばいいでしょう。(詳しくは後ほど)

敷居線

 もっとも、上の項目すべてに当てはまっても、必ずしも「ひきこもり」状態になるとは限りません。例えば、これらの心の傷を受け入れ、理解してくれる人(親友、恋人、家族など)がいるなら、このようにはなりませんし、多くの場合はそういう人がいるのです。生きていれば、辛いことがたくさんあります。ほとんどは、良くない状態にならないように、どこかでバランスを取っているわけです。でも、そのバランスが取れないと、どうなるんでしょう?

 結局のところ、いろんな人の話を細かく分析すると、様々な経験が不幸な形で重なって、はじめて「ひきこもり」状態になると私は考えています。

 

「ひきこもり」状態が長引く原因

 みんな、自分のことだけで精一杯だから・・・

 学校や仕事を辞めると、多くの場合以前の友人、知人は去っていきます。相手にも自分の仕事(学業)や家庭があり、それぞれに問題を抱えているため、こちらから連絡を取らない限り、待っていても相手にしてくれません。

 仕事を探すなど、すぐに次の行動を起こすことができればいいのですが、中にはそれがなかなかできない人もいます。そうなると、家にいることが必然的に多くなってきます。自分の買い物には出かける人もいますが、家のことは親がほとんどやってくれるので、毎日出かけることはないでしょう。

敷居線

 じゃあ、家にいること(一人でいること)が多くなるとどうなるのでしょうか? 例えば、まわりを見ると「自分と同世代の人がばりばり仕事をして、友達もたくさんいる。」ことに気付くでしょう。でも自分は決してそうではないので、そのことがコンプレックスになるかもしれません。

 家族にも申し訳なくて・・・

 また家族に対しても、親からあれこれ言われるのが嫌になったりして、自分の今の状態を見られるのが嫌になったり、他の家族も避けるようになります。

 特に男の子の場合、20才を過ぎて働かず家から出ないことは、家族や社会に対し相当な負い目です。家族とすら顔を合わせることを恐れ、昼間は自分の部屋で過ごし、家族が寝静まる深夜にそっと出てきて、自分の衣類を洗濯したり食事をしたりする人もいます。

 そうなると、自分を癒してくれるのは、安心してつきあえるもの(趣味、動物、ゲーム、場合によっては人形など)に限られてきます。20歳を過ぎると、自分で生計を立てるよう求められますが、こういう人にはそれが生涯の目標になってしまいます。「20歳になったら国民年金」などと大々的にPRされてますが、こういう人にとってはプレッシャーになるだけです。

敷居線

 それでも、最初のうちは「これではいけない」と本人も感じているはずです。でも、そういう状態である期間生活が進んでいくと、そういう状態に慣れ切ってしまうんです。

 人というのは人と出会い、場合によっては助け合うことによって、成長し世界が広がっていくものです。が、このようになるとこれらは期待できません。つまり、極端な手段に出ないと、本人と関わることができないのです。

あゆちゃん

 

本人の心の中は?

 本人の心の中はどうなっているのでしょう? 人それぞれ、かなり違うと思いますが、「今の状態を何とか変えたい」とはみんな思っています。しかし、

 人と関わりたくても…

→ 何を話していいのかわからない。
→ 集団の中で孤立するのでは…。

 何かしたくても…

→ 何をしていいのかわからない。長続きしない。
→ なんにも興味が湧かない。やる気も出ない。
→ 何かを学ぶにも、年下の人と一緒は嫌。

 誰かに相談したくても・・・…

→ どこへ行けばいいのか、わからない。
→ 行ったとしても、相手に迷惑かけそう…。

というような不安が先走ってしまうため、ほとんどの場合、行動につながらないと考えられます。

 このほか、「将来の不安(特に親が死んだ後のこと)」 を感じてる人がほとんどだろうと思います。

れっつくっき〜んぐ!