「ひきこもり」と「ニート」
最近、「ひきこもり」に加えて、「ニート(NEET)」という言葉がよく使われます。イギリス生まれの言葉だそうですが、「Not in Education, Employ(ee), and Training」の頭文字を取ったもので、「学校に通ってなく、仕事をしていない人」といった意味だそうです。誰が言い出したのか知りませんが、「ひきこもり」同様、感じの悪い言葉です。
統計的には、「ニート」とは18〜34才の人を指すようですが、「『ひきこもり』とほとんど同じ」という印象なため、当サイトではあまり使用していません。テレビなどで「ニートの支援施設」が取り上げられることがありますが、中にいる人を見た印象としては、「ひきこもり」と全く同じであり、特記することはありません。
とはいうものの、政府を始めとするあらゆる分野の人たちが「NEET」という言葉を使っています。「ひきこもり」だと医学や心理学といった学問からのアプローチしかなかったですが、いろんな人がこの分野の問題に関心を持ったこと自体は評価できるかもしれません。とはいっても、彼らのこの言葉の使い方は差別的であり、偏見に満ちたものでしかないと思います。(左の「余計な話」も参照。)
それでも違いを述べるとすれば
次のようになると思います。
「ひきこもり」→社会的に孤立した状態。家族以外の第三者とのつながりが無い状態。
「ニート」→単に働いていない状態。職業訓練などを受けていない状態。
したがって、「引きこもり」状態であれば、おそらくは「ニート」である可能性が高いでしょうけど、その逆は何とも言えません。働いていないだけで、交友関係がたくさんある人はいると思いますので・・・。
「スネップ」という言葉もありますが・・・
20〜59歳の「孤立無業者」(solitary non-employed persons、SNEP)を指すようです。ここでの「ひきこもり」に近いと思われますが、取り立ててこの用語を使う気はありません。
どこかのニュースサイトで、「スネップ」を4コマ漫画で紹介していましたが、担任と思われる教師が「勉強しないとスネップになるよ〜〜」と生徒を怒鳴るシーンがありました。それは間違いです。学歴や教養は関係ありません。
「ひきこもり」「ニート」を名乗って変な事をする人
インターネットでいろんなサイトを見ていると「ひきこもり」や「ニート」を名乗って変なことをやらかしている人を度々見ます。この種の件で本当に悩んでいる人がいるんですが、当事者をバカにしています。
2件紹介していますが、いずれも「ひきこもり」でも「ニート」でもありません。矛盾点と共に紹介すると・・・。
引きこもりアニヲタのビデオ
ある店で見かけたものです。携帯で撮影したので少しぼけていますが、嫌らしいビデオのようです。(顔の部分は画像処理でぼかしています。)
矛盾点
この種の映像を撮影する際は、たくさんの人が関わっています。ここに写っている人は、その中にいるので、必然的にいろんな人と関わっていることになります。こんな人が「引きこもり」であるわけがありません。
高校中退の引きこもりニートが356万円を稼いだ
インターネット上に無数に転がっている話です。「無能な人が凄いことをやった」と宣伝することが多いのですが、「無能」の中に「引きこもり」や「ニート」が使われていることが多いです。
100%嘘とは言いませんが、こんな話に関わるとロクなことがないので気をつけましょう。まあ、儲かったのなら、ちゃんと税金払ってね。
矛盾点
まず、「借金して生活費をまかなっていた」とあるのですが、その時点で「引きこもり」ではありません。(社会のシステムの中で生きようとしているため)
また、「日給8万円」などとあるので、中身はどうであれ、仕事をして収入を得ていると思われます。よって、「ニート」でもありません。