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「理解しろ」とは言わないけれど

私のところには、オプトインメール(メール内のリンクをクリックするとポイントがもらえ、ポイントを貯めると現金や景品に交換できるメルマガ)がよく届くのですが、その中に興味のあることが書かれたメールがありました。その中にメールの読者からの質問コーナーがあり、ある号の質問が「30才のいとこがニートです。どうすればいいか?」というものでした。で、他の読者のアドバイスがいろいろとあったのですが、一部を書くと…、

「一家で蒸発して、一人ぼっちにする。誰にも頼れないようにする。」
「山奥のお寺で修行でもすれば人間が変わるのでは?」
「戦争紛争地を旅する。自衛隊に入れる。」
「マグロ船で強制労働」

「まあ、よう言うネ」という感じですが、この問題の基本は「当人が、好きで自発的にやっているわけではない」ということです。それが一般の方には理解できてないんですね。

もっとも、「理解しろ」とも言いません。でも、「なぜ、彼らがそうしなければならないのか?」ということには、関心を持っていただきたいです。

「いじめ」や暴力のない環境で、すべての子どもが育つことのできる社会を。
「いじめ」や暴力のない環境で、すべての子どもが育つことのできる社会を。「あした、いいこと」の願いです。

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2009/01/01 更新

「ひきこもり」ってなあに?(タイトル)
その9 よく言われる「ひきこもり」解決法

よく言われる「ひきこもり」解決法

「○○すれば『ひきこもり』が治る」とマスコミなどが伝えていたり、親御さんからの相談に出てくることの所感です。

四国88ヶ所めぐり

 「ひきこもり」の支援団体がよく企画しているようです。歩いて88箇所の霊場を回るのは大変(私にはできません!)だと思いますが、ついて行くだけであれば、その人の行動パターンや性格が大きく変わるものでもなく、それが終われば元の生活に戻って行く人が多いと思われます。

 おそらくは、マスコミに出るためのスタンドプレイであり、「ひきこもり」状態を脱出させる方法にはならないと考えます。あえて言えば、「自ら企図し、(仲間を募って)実行すること」であれば、その人にとって学び取ることが多いはずです。そうであれば、四国88箇所に限らず、自転車で日本一周、JR全線乗り潰し、ユーラシア大陸横断ヒッチハイク、万歩計を持って1日1万歩歩くのでも構いません。人(サポート団体ではなく、その場で会った人)の協力を得ながら、成し遂げていくことが大切だと思います。

 とはいっても、先ほども言いましたが、それによってその人の性格や行動パターンが変わるわけでもありませんので、所詮は「自己満足」の範囲です。でも、それを何度もやることで、「人の振舞い方」が見えてくることはあると思いますし、それが自発的に行動できるきっかけになることはあるでしょう。

内観

 「自分の心の内を観る」→「自分のやったことを振り返り、同じ過ちを繰り返さないよう反省する」という感じで、少年院や刑務所で行われているようです。「非行」系の人には大切だと思います。つまり、「万引きした」→「相手や家族に迷惑をかけた」→「もうやらない」と思考を進めさせることによって、プラスの方向に進ませることが可能です。

 しかし、「ひきこもり」状態の人は、既にそれをやっていたり、自分で解決不可能なことについて上記をすることになるため、更なる負担を強いるだけだと思います。つまり、「家に引きこもっている」→「家族に迷惑をかけている」→「どうしていいかわからない」→「やっぱり引きこもる」となり、堂々巡りになります。「ひきこもり」状態の人にやらせるのは危険です。

 私が相談に乗る時、相談の内容が「動いたことの結果か、動いていない(何かをされた)ことの結果か」ということを問題にします。前者の場合は、「あなたのやったことにも、○○な問題があったんとちゃうの?」というふうにアドバイスできるのですが、後者の場合は、アドバイスしようがないんです。何もしてないんですから。多くの場合、相談した人に落ち度はありません。だから、このやり方がどういうタイプの人に合うかを検討してから始めるべきです。

 この問題の当事者よりは、学校や企業でやった方がいいはずです。各人が、自分のやったことを振り返るような機会になり、ふるまい方を改めるいい機会にもなるでしょう。

家族療法

 問題になっている本人はもちろん、家族全員が病院などに集まり、全員でカウンセリングを受けるなどして、家族の抱える問題を認識させ、またお互いの関係を見つめなおすような作業を行います。「家族療法士」なる資格もあるそうです。

 が、「家族全員が、その問題に対して同じ認識を持っている」というのが家族療法を受ける前提になるはずです。しかしながら、人それぞれ、考え方や価値観は異なります。「俺は関係ない」と言い張る人もいるでしょう。そういう人を説得するには時間がかかるでしょうし、家族全員のスケジュール(仕事や学校など)を調整するのも大変です。理想的な方法だとは思いますが、現実的ではないと思います。

犬を飼う

 犬を散歩させている人に話しかける人(お年寄りに多い)を時々見かけますし、犬を散歩させている人どうしが、面識はなくても犬の話題で話をしている光景もよく目にします。「そういうところから、人とコミュニケーションをとる機会ができ、それが社会参加につながる」ことを期待して、犬を飼うように提案する人がいるみたいです。

 しかしながら、そのような関係は、その時だけで終わってしまうことがほとんどなんです。話しかける方は「友達になりたい」という目的で話しかけるわけではありませんから。一時的には、その人の気持ちを前向きにさせる効果もあるかもしれませんが、期待したような結果につながる可能性は低いと思います。

一人暮らしさせる(本人のみ転居させる 又は親が家を出る)

 家にいたら、どうしても親が世話をしてしまうので、自分のことは自分でできるように、とアパートを借りて転居させることがあるようです。あるいは、親の方が家を出ることもあるようです。

 とはいっても、自分のことは自分でできても、結局はアパートなどで「ひきこもっている」だけであり、最終目的である社会参加とはかけ離れていると思います。それよりは、今いる家の中でルールを作り、「○○と△△はあなたがやる」という具合に決めた方がお金はかからないし得策だと思います。

家族で転居する

 一時的な気分転換にはなるかもしれませんが、それによってご本人の振舞い方が変わるわけではありませんので、期待するような結果になる可能性は低いです。

 それよりも、幼いころから住んでいる場所の地域社会の中で支え合う方が見込みがあると思われます。