私は今まで、「あした、いいこと」などで主に学校に行けない子、学校を辞めた子の悩み相談を受けてきたのですが、それ以外の様々な問題を抱えた人の話などを聞くにつれ、多くの人が似たような状況であることがわかってきました。
マイノリティー(minority)とは、「少数」「少数派」という意味ですが、言ってしまえば、「少数の側に立たされた人は、そうでない人(majority:『大多数』の意)に対し、肩身の狭さを感じ、自分の立場をうまく表現できていない、あるいはそれを隠していることが多い」ということです。そして、そのことから、2次的なことが起こって来るのですが、これらがそれぞれのマイノリティーの方々を苦しめることがあります。
私の方では、このことを「マイノリティーの法則」「マイノリティーの問題」と呼んでいます。もちろん、100%そうとも言えないので「法則」というには問題がありますが・・・。
ここでの「マイノリティー」とは、単に「少数」の意味の他、「何らかの問題を抱えた人」とお考えください。
「マイノリティーの法則」が当てはまる例
「マイノリティー」にあたる人を見出しとし、「マジョリティー」にあたる人、「その後に起こる(2次的な)こと」の順に書いてみます。
学校に行ってない人、辞めた人
マジョリティー・・・学校に行ってる人、世間一般。
2次的な問題・・・同世代の人を見るのが不安になる。人目を避けるようになる。
特定の趣味を持つ人
マジョリティー・・・世間一般。
2次的なこと・・・それが原因で「いじめ」に遭う人が度々いるし、差別的な扱いを受けることもあるでしょう。
障がいを持つ人
マジョリティー・・・障害を持たない人
2次的な問題・・・様々な場面で差別を受けることがある。でも、多くの場合は福祉的な支援を受けることができるので、救われる部分もあるでしょう。
有名人・スター(芸能人)
マジョリティー・・・一般人。
2次的な問題・・・「近寄りがたい存在」として、遠ざけられてしまうことが多いようです。「孤高の人」などと呼ばれる人も、ある意味マイノリティーです。
今挙げた以外にもたくさんありますので、これをお読みの方は、その例をお考え頂きたいものです。
状況によっては、マイノリティーとマジョリティーがひっくり返ることもあります。ある集団内で「タバコを吸わない人」が「吸う人」より多ければ、「吸う人」がマイノリティーになることもあるでしょう。
大事なことは?
誰だって、マイノリティーになることがあるし、マジョリティーになることもあります。
もし、マイノリティーの立場になり、それによって不利益な扱いを受けているのであれば、それを訴え、またそれをしっかりと受け止めることができる体制が必要です。
逆に、マイノリティーの人と向き合った時に、どのように接すればいいのかも、日頃から考えておく必要があります。マイノリティーの立場にいる人の家族(親御さんなど)は、本人以上に不安を感じていることも多いです。したがって、子どもを扱う人は、そのあたりも考えておかなければなりません。どちらにしても、やり方によっては、その人をさらに孤立させてしまい、問題を難しくしてしまうことになります。
今までは、「マイノリティーの立場に置かれた特定の人が団結して主張し、社会的に認知されるようになった」といったことがほとんどすべてでした。(女性差別の問題など) でも、団結も主張も難しいマイノリティーの人もたくさんいます。そういった人の「息苦しさ」に、周囲が気付こうとするのも大切なことです。また、こういった人のニーズを汲み取ることが、ビジネスチャンスになることもあるでしょう。
一方で、マイノリティーであることをバネにして成功する人もいます。最近では、「はるな愛」さんがいい例ではないでしょうか? でも、それができない人も多いのです。マイノリティーの立場に長く置かれ続けると、「主張する」ということが難しくなってくるようです。(詳細は「非秩序が日本を滅ぼす」で)
だから、同じ悩みを抱えて頑張った人を例に挙げて「あんたも○○さんみたいに頑張れ」というのは、私は間違いだと思っています。
2009/11/27 公開
2009/12/2 修正